はじめに
8年ほど前、郵便配達のバイトに出た冬、大事故をおこしそうになった。今考えても、恐ろしくなる。下り坂のカーブ、4メートルほどの雪道、左が崖になっていて右側は土手がある。雪は15センチほど積もっていて、天気は悪く、まだ少し雪が舞っていた。配達の時間が遅れ少し急いでいた。今なら、遅れてもどうと言うこともないのだが、その頃は慣れないため少し焦っていた。交通量は少ない村道である。下ってゆきカーブを曲がると突然近くのおばあさんが道の真ん中を歩いていた。「危ないU(>_<)」と叫び、少しブレーキを踏み、すぐ離し、ハンドルを少し右に切ってその脇を通り抜けようとした。「もう駄目だー」と覚悟した。おばあさんとサイドミラーとの距離ほぼ10センチ、なんとか脇を通り抜ける事ができた。30メートルほど行き過ぎて停止し「あーぁー」と唸りながら目をつむり、ハンドルに顔を伏せ、気を静めそのあと安堵した思い出がある。
ここに雪道の安全運転の全てが凝縮されている。30年も雪道をやっているといろんな事がある。昔は、後輪駆動とチェーンのみ。FF車がでたり、スパイクタイヤがでたり、4輪駆動車が登場し、タイヤもスタッドレスというのが普及した。車という機械の進歩でずいぶん雪道の運転が楽になったが、その分交通量も増え危険もました。雪道の安全運転について体験に基づいて書いてみる。多少は参考になると思うが、絶対ではない。折々に気づいた事があれば追記していきたい。
1 状況の把握
まず自分が乗っている車の特長と雪道の状況を把握する事が大切である。
車は四輪駆動なのか、FF車なのか、それとも後輪駆動なのか。タイヤはスタッドレスなのか、チェーン装着車なのか、ブレーキはABSがついているのか。
道は、雪がどのくらい積もっているか、雪の下の路面が凍っていないか、融雪剤が播かれてザクザクしていてすべりやすくないか、道は細くないか、カーブが多くないか、交通量はどうか、絶えず対向車があるか、前の車との車間距離は充分とっているか、それぞれ把握する必要がある。
A 四輪駆動といえども過信しない。上りは強いが下りは他の車と同じように滑り易い。
B FF車は坂道の途中で止まると、発進するとき滑りやすい。急にエンジンを噴かさずゆっくりとアクセルを踏む。止まるかどうかの寸前で発進し徐々にエンジンを噴かす。噴かしすぎない。
C タイヤは全輪スタッドレスが一番いい。四駆ならどんなところでも進む、まだスタッドレスにチェーンを巻いたことがない。
D チェーンでの走行は最近ではほとんど経験がない。FF車の場合前にチェーンを巻くわけだが、それでも滑りやすいし、後ろが流される事がある。
E どんな車も急ブレーキを踏むといきなりタイヤが止まるわけだから、雪の上だと摩擦がないからよく滑る、面白いほど滑る。菅沼の原の真っ直ぐのところで、車が前と後ろにいないときブレーキテストをすると、とにかく滑る。ここではブレーキを踏みすぐ離し、またすぐ踏むというブレーキテクニックの練習もした。そんな練習でどのくらいで車が止まるか、それによって、坂道はなを止まりにくいし、雪の状態によってはどんな風になるのか予想がつく。誰もがというほど1回転した経験のある人は多い。
F ABSのついているブレーキは確かに横ブレは少ない。でも過信はしない。
G 雪道の状態で一番怖いのは、路面が凍っていて、その上にうっすらと、あるいは少しの雪が積もっているときです。これは良く滑ります。ゆっくり走るか充分車間距離をとる以外に追突を避ける手段はないと思う。
H 降った雪が圧雪されたばかりの状態の時はよく滑る。面白いほどです。スタッドレスの効果は期待できないこともあります。
I 雪の上に融雪剤が播かれているときはザクザクしてこれも滑ります。ハンドルが効かない場合もあります。
J 道路わきのU字溝のふたがなく、雪で覆われていて、溝が見えないことがあるので注意する。ここに落ちると一人では、なかなか上がれない。どこかから、石と板を見つけてきてジャッキを持ち上げてそれを敷いて脱出したこともある。
まだまだ把握についてあると思いますがとりあえずここまで。
メール、あるいはブログのコメント欄に質問下さればお答えします。
2 速度と車間距離
速度を押さえれば事故はほとんどない。雪道も同じ。あまりにものろいと、車の価値も劣るし、他の人にも迷惑がかかる。でも基本はゆっくり走ることこれが一番。車間距離は上りと下りではだいぶ違うし、スピードによってずいぶん違ってきます。平らの所でも普通の3倍以上必要でしょう。普通は時速と同じ距離をとるのですが、雪道は3倍くらいが安全だと思う。ここのところは実際にその場にならないと…。とりすぎくらいとった方がいい。
A 上り坂でも、車間距離は多めにとる。特にゆっくり走っているとき、前の車が止まってしまい、後ろに滑ってくることがある。またストップした後発進できない場合、追い越す場合も距離があると安心。
B 速度がでているときは急ハンドルは厳禁。一回転してしまいます。特にカーブは注意する。
C ゆっくりだと思ってもほんのチョットよそ見をしたら追突と言うこともある。とまりそうでなかなか止まらないのが雪道。これは何度も危ない目にあっている。そんなときは左側にハンドルを切り路肩に乗り上げたり、対向車がなければ右に出て避けたこともある。
3 ブレーキのかけ方
雪道のブレーキは踏みっぱなしにしないで、踏んで離して踏んでまたふんでというテクニックを使う。この事をなんか横文字で言うらしいが何という言葉か知らない。ブレーキが効くときは必要ないが。
A 一番危ないのは、カーブで急ブレーキを踏めば対向車線にはみ出し1回転する。これは雪国の人はみんな経験がある。
B 雪でわだちが出来ているときは、その形の中をハンドルをしっかり握って走るのが安全。なれている人ははずれて走ることもできるが過って対向車線に飛び出すことがある。
下の写真は、雪道で前も後ろも誰もいないときのブレーキテストができる道路。
4 万が一の道具
林檎亭々主はいつもスコップを用意している。もし道路から飛び出したり、側溝に落ちたり、坂道を上れなくなったときの用意に、スコップ、ビニールの袋、軍手、などあると良い。
A 雪の坂道で止まってしまい、発進できないときは、近くの土、砂をタイヤのした、あるいは全輪の進む方向にすく、薄くサーと投げてすくとタイヤとの間に摩擦が出来て上手く発進できます。その時は急にアクセルを噴かさないでゆっくりと、止まるか止まらない寸前。
B 雪に乗り上げ、車の下が雪でいっぱいになり動かなくなることがある。そんなときはシャベルで車の下の雪をとってやり、なおかつ進む方向も雪をどかしてやる。
5 楽しい運転
雪は全てのものを白くおおってくれます。枯れ草や、古びた壊れそうな廃屋、雑草だらけの河原、手入れのしてない山林などなど。そんな雪道を颯爽と走るのは気持ちのいいものです。それが安全を約束されていればなおさらです。
雪道は自分だけで無く、相手の飛びつきや、雪道を知らない人の非常識な運転によっても安全がおびやかされる
林檎亭々主も毎日4〜50キロの道を走ります。注意が散漫になったり、考え事をしたり、チョットのことで危ないことがあります。そんな時、道路状況の把握、速度と車間距離に注意し、安全運転を心がけたいと思います。
皆様が雪を雪道を味方に付けて、楽しい冬を過ごされる事を希望します。
片品村進入道路注意情報
片品村に入る道は、国道120号線と川場村からの県道があります。この道はすいていて便利ですが、冬の間は日陰やトンネルが凍っていて危険な事があります。雪がないのでスピードを出していくと、急に雪のあるところが出てきたり、トンネル内に凍結があったりします。状況が完全に掴めていない場合ゆっくり走って下さい。携帯電話も通じない場所もあります。
川場村から片品に入る花咲峠(背峰峠)は充分ご注意を。
おまけ
雪道の歩き方
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